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法律相談の費用

最初はお金の話から
法律相談の方法のアドバイス,やはり最初はお金の話から始めましょう。お金が世の中のすべてではありませんが,お金が大切なものであることは誰にも否定することはできません。なお,以下,金額は,いずれも消費税別です。
弁護士への法律相談は有料
弁護士に対する法律相談は,一般に有料とされています。
弁護士費用については,かつては日本弁護士連合会が定めた「報酬基準」というものが存在していましたが,平成16年3月に廃止されました。廃止当時の基準では,以下のとおりとなっていました。
初回市民法律相談料:30分ごとに5000円
一般法律相談料:30分ごとに5000円以上2万5000円以下
このうち,「初回市民法律相談」とは,事件単位で個人から受ける初めての法律相談であって,事業に関する相談を除くものをいい,一般法律相談とは,初回市民法律相談以外の法律相談をいう,とされていました。
このように,法律相談1回は,30分以内5000円というのが一つの(ミニマムの)目安とされており,この水準は,かなり長い間変わっていませんでした。
報酬基準廃止後は,法律相談料の価格設定は各法律事務所が自由に決めていますが,一般には,今でも同様の金額としている事務所が多いように思われます(ただし,価格協定があるというわけではありません)。
弁護士会が実施主体となっている法律相談についても,後で述べる無料法律相談を別にすると,やはりほとんどの場合,「1コマ30分5000円」とされているようです。
30分5000円は高すぎるか
5000円という金額が庶民感覚からいって決して安いものでないことは重々承知しています。
しかし,弁護士という稼業は,顧客に対して役務(サービス)を提供し,その対価をお支払いいただくという業態です。したがって,執務時間を割いて法的助言をして差し上げる以上,なにがしかの対価をお願いすること自体は,ご理解いただけるものと思います。
そして,弁護士が提供する法的助言の基盤となる法的知識は,長年の研鑽(けんさん)と実務の経験を通じて取得したものであり,相談料は,いわば技術料的な色彩があります。
弁護士は,原則として事務所経営の経費を負担してもいますし,その多くは一般市民と同様,その稼動収入によって家族を養っています。弁護士からしますと,相談料30分5000円(それもミニマムスタンダードとして)というのは,決して高くはないというのが正直な感想です。したがって,一般的には,1時間かかればその倍,1時間半なら3倍というように,かかった相談時間に比例したご負担をお願いすることになります。
問題提起:相談時間の有効な利用方法とは
5000円という金額が庶民感覚からいって決して安いものでないとすれば,少しでも節約するにはどうしたらいいでしょうか。つまり,適切な時間内,できれば30分以内に相談内容への的確な回答まで得るにはどうしたらいいかという問題です。
この問題は,実は,弁護士の側からしても,利害が共通しうる問題です。というのは,弁護士の多くは,ほとんど常時処理すべき膨大な事務を抱えていますので,法律相談については,相談料を時間に比例してお支払いいただけるとしても,そのような収益をあてにするというよりは,むしろ短時間で済ませたい,という気持ちの方が強いからです。
事前に資料を送りつけてくる人もいますが
相談を予約した人の中には,相談時間を有効に使いたいということなのでしょうか,事前に資料を送りつけてくる人がいます。「送りますから」といって断ったうえでというのならまだしも,予告なしに分厚い資料を速達で送付してくるというのは,「事前に読んでおけ」と言わんばかりで,正直,戸惑いを覚えてしまいます。読むのにも時間がかかる,つまり,そのために執務時間が取られてしまうのですから。
つまり,相談者は,実際の法律相談において弁護士との30分の話し合いの中で情報を得られるかもしれませんが,そのために弁護士側は30分をはるかに超えた時間を割かれることになります。
それがA4版1,2枚くらいなら「まあしかたないか」と目を通してはおくかもしれませんが,それ以上となれば,資料の事前読破は義務ではないのですから,事前に読むことはしないで相談に臨むのが普通でしょう。
相談の要点をまとめる作業を
相談を時間内に済ませるという目的のために生の資料を弁護士に送りつける,というやり方は,いわば掟破りです。それは,相談の要約という作業を弁護士の側に押し付けてしまうようなものですが,そうした作業は,元来,問題を提起する側,つまり相談される方がご自身でされるべきものだからです。
実際に,事案の内容を文書にまとめたうえ,お尋ねになりたい内容を箇条書きにしてまとめて来られる方がいます。そういう人に対しては,弁護士としては,それだけでシンパシー(共感)を抱くことが多いです。
それに,相談内容をまとめるという作業は,相談者ご自身にとって,とても有益な作業だと考えられます。そうした作業を経ることによって,相談者ご自身が,自分が抱えている法律相談の内容を整理して理解できるからです。その結果として,
第1に,法律相談における弁護士の回答内容をよりよく理解できると予想されます。
第2に,セカンドオピニオンを得ようとするとき,二つの意見を対比しやすくなります。
第3に,将来,相談した問題が発展して,訴訟その他の係争事件になっていった場合に,何が論点なのか,理解しやすくなります。
そして,何よりも,このように自分の抱えている法律問題の内容をとりまとめることは,自分の置かれている状況を客観視することにつながるので,当事者としての自覚を高めつつ,問題を冷静に眺めることを可能にします。
このようにして相談者自身が問題点を整理してこられれば,事案が特に複雑なケースなどの例外を除き,大半のケースでは,30分以内で目的を達成しつつ相談を終えることができると思います。
そんな難しいこと自分にはできない,と考えた人がいるかもしれません。でもそれはご自身への過小評価かもしれません。とにかくまずはやってみましょう。
相談者として事案の内容をまとめて質問したい問題点を整理する,それが法律相談をスムーズに進める第一歩だということを是非覚えておいてください。