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Tomorrow is another day.

前々回,落ち込むためのエネルギーの話をした。その続きを書こう。
落ち込むのを防止するためには,自分で供給しているエネルギー源を絶てば落ち込むのを防止するためには,自分で供給しているエネルギー源を絶てばいいのではないか,それが前々回の主題だった。この不作為戦術に有益な三つの提言をしておくことにする。
まず気をつけなければいけないのは,人は無意識のうちにマイナスエネルギーの供給活動をしている場合があるということである。
たとえば,メランコリックな気分の時に鏡を見てみよう。もしも険しい顔,悲しい顔をしているとしたら,その表情を作り出す筋肉の動作を通じて,内部にマイナスエネルギーが供給されていると自覚すべきである。
あるいは,「アーア」とため息が漏れたなら,それを発声した喉の震え,それを耳にした鼓膜の振動を通じて,辛いと思う感情が増幅されていると見るべきである。
だから,悲しい時には鼻歌でも歌い,百面相でもして自分を笑わせるというのが,マイナスエネルギーの供給を防止する一つの有力な手段である。
落ち込みそうになったら,まず鏡で自分の表情を眺め,自分の声を聞いてみよう,これが第一の提言である。
もちろん事態の深刻さ,厳粛さによっては,そうしたおふざけを許さないような場合もある。それは自分の常識で判断しなければならない問題である。
そうした判断の必要性は,実はそれ自体が,逆境克服のために意味があることに注意すべきである。というのは,「重大でない逆境は軽妙に乗り切ろう」という基本スタンスをもっていると,その切り札を行使していいかどうかという判断を最初に行うことになるので,まず事態を冷静に見極めて逆境の程度・気の持ちようによって克服できる可能性を,最初に自分自身で再検討できるという利点があるからである。つまり,不必要に事態を深刻に捉えるという陥穽に落ちずに済むということである(深刻になってしかるべき場合にはそのことを見極めることもできる)。
マイナス気分の時には冷静に事態を分析してみよう,これが第二の提言である。
もう一つ提言しておこう。悩みそうになったら寝ることにしている,という友人がいる。これは生活の知恵というものだろう。睡眠をとるのは最も効果的なマイナスエネルギー断絶療法である。人間は,眠い時,寒い時,空腹の時,どうしてもマイナス思考に陥りがちである。眠い時に物を考えても,いい知恵は出てこないのが普通である。だから,「tomorrow is another day」(明日は明日の風が吹く)と言って就眠するのは,一般的に言ってグッドチョイスと言っていい。
ただここには,考え方の落とし穴もある。それは,落ち込みそうな場合に睡眠をとろうとして寝付かれないときに,眠られないという焦りが生じ,それがマイナスエネルギーを生み出す可能性があるという点である。眠ってしまうというのはどんな場合でも最良の選択肢の一つなのだが,だからといって,眠ろうとして眠られないという状態は何ら恐れるに足らないものだということは知っておく必要がある。えいっ,眠ってしまえという発想は,「そのうちどうにかなる」という考えであり,その延長上には,「眠られなければそれはそれでしかたないじゃないの」という発想が控えていると言ってもいい。
そこで第三の提言は,「とりあえず布団に入ろう」というものである。
もっとも,こうした「なるようになる」式の開き直りの称揚は,あくまで不作為としてのマイナスエネルギー投入防止ということに限定しておくべきであろう。プラス思考のために作為を要する(作為が有効な)場合は確実に存するのであり,そうした場合には「なるようになる」という怠慢戦術は妥当しないように思われる。寝て起きて腹いっぱいになって,そうやって心身が元気になったら,そこでは「なるようになる」から,「やるべきことをやる」という積極思考に転換すべきだからである。